東南アジア最大の繊維市場タナアバン、売り上げ75%減で客足遠のく 海外との価格競争に勝てず

東南アジアで最大級の繊維市場であるタナアバンから客足が遠のいているとして、露天商らが悲鳴をあげている。背景には国外からの安価な衣料との価格競争に巻き込まれていることがあるようだ。

「私たちタナ・アバン市場の業者としては、これまでこんな状況に直面したことはありません。」と、タナアバン市場ブロックAのバティック服販売店主のサブリナさんは2023年9月19日、テンポ誌に窮状を語っ

タナアバン市場といえば、服が安く買える市場として有名で、毎年レバラン(断食明け大祭)前にもなると服を新調しようとする客などでごった返す名所だ。

しかし近年はタイや中国、周辺諸国からの安価な衣料がオンラインで販売されていることで、顧客が流れてしまっているという。

インドネシア伝統市場商人組合(IKAPPI)のレイナルディ・サリジョワン組合長は、タナアバン市場だけでなく、インドネシア全体のテキスタイル市場が落ち込んでいると指摘する

「実際、タナ・アバン市場だけでなく、インドネシア全体のテキスタイル業者、伝統的な市場の業者も破産している」

比較年度は不明なものの、同氏はインドネシア全体のテキスタイル市場の売り上げが60%減、タナアバンのような「テーマ型市場」では75%の売り上げが減少していると指摘した。

19日にタナアバン市場を視察したテテン・マスドゥキ協同組合・中小企業相は、「この状況が恒常的に続く可能性がある」を懸念を示した。特に海外からの安価な輸入製品と価格競争ができていないことを理由に挙げる。そのために、商品のオンライン販売への転換が欠かせないと指摘している。

しかし、前出の露天商の一人であるサブリナさんも状況を打開しようと、過去にオンライン販売に取り組んだことがあるという。数ヶ月間、SNSなども駆使して販売を試みたものの、顕著な売り上げ増加は見られなかったために、現在は取りやめている。

大きな理由として、露天商は店舗の賃料やサービス料が価格に上乗せしなければならないために、オンライン販売との価格に勝てないことを挙げた。税金の支払いも大きいという。

そのために露天商らはオンライン販売以外の政府からの援助を期待しているが、今回の大臣視察では具体的な解決策は示されなかったようだ。

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